; oi: 標準一様分布に従う独立した2つの確率変数の大きい方の期待値の求め方(3)

2017年6月4日日曜日

標準一様分布に従う独立した2つの確率変数の大きい方の期待値の求め方(3)

一様分布の定義は過去のポストに記載しているので参照されたい。今回のポストでは、おまけとして、任意の連続一様分布の期待値を求める。

(おまけ)任意の連続一様分布の場合


まず、$Y$が大きい場合を考える。求める期待値は$Y$の期待値となることから、以下で表せる。なお、各確率変数は、$a$から$b$の間の一様分布(確率 $\frac{1}{b-a}$)に従うため、確率密度関数は、2変数の同時確率となり、定数$\frac{1}{(b-a)^2}$ をとる。

$$
\begin{eqnarray}
& &\int_a^b\int_x^b \frac{y}{(b-a) ^2} dydx\\
&=&\int_a^b\frac{(b^2-x^2)}{ 2(b-a) ^2 }dx\\
&=&\left[ \frac{3b^2x - x^3 }{ 6(b-a) ^2 } \right]_a^b\\
&=&\frac{ (2b^3-3ab^2+a^3) }{ 6(b-a) ^2 }\\
&=&\frac{ (2b+a)(b-a)^2 }{ 6(b-a) ^2 }\\
&=&\frac{ (2b+a) }{ 6 }\\
\end{eqnarray}
$$

$X$と$Y$は対称であるため、$X$が大きい場合も同様に$\frac{ (2b+a) }{ 6 }$となる。よって、求める期待値は、$\frac{ (2b+a) }{ 3 }$であり、0から1の標準一様分布もこの値を満たす。

その他:美しい解法

本問題について、より美しく解いていたQAサイトを発見したので、紹介する。

Expected value of maximum of two random variables from uniform distribution
https://math.stackexchange.com/questions/197299/expected-value-of-maximum-of-two-random-variables-from-uniform-distribution

すべての非負の確率変数$X$の期待値は以下で表せることをうまく利用した例である。
$$
\begin{eqnarray}
& &E[X]\\
&=&\int_0^\infty yf_X(y) dy\\
&=&\int_0^\infty f_X(y) \int_0^y1dxdy\\
&=&\int_0^\infty\int_0^yf_X(y)dxdy\\
&=&\int_0^\infty\int_x^\infty f_X(y)dydx\\
&=&\int_0^\infty P(X \geq x) dx\\
&=&\int_0^\infty 1 - P(X \leq x) dx\\
\end{eqnarray}
$$

なお、式(10)〜式(11)は積分範囲の指定の順序を交換している。詳細は、以下を参照されたい。

Expected value of a non-negative random variable
https://math.stackexchange.com/questions/958472/expected-value-of-a-non-negative-random-variable

加えて、2つの確率変数の最大値が特定の値$x$よりも小さくなる確率は、以下で表現できる。
$$
\begin{eqnarray}
P(max(X,Y) \leq x) = P(X \leq x)P(Y \leq x)
\end{eqnarray}
$$

よって、以下のように求められる。

$$
\begin{eqnarray}
& & E[max(X,Y)]\\
&=& \int_0^\infty 1 - P(max(X,Y) \leq x) dx\\
&=& \int_0^\infty 1 - P(X \leq x)P(Y \leq x) dx\\
&=& \int_0^1 1 - x^2 dx\\
&=&\left[ \frac{3x - x^3 }{ 3 } \right]_0^1\\
&=& \frac{ 2 }{ 3 }
\end{eqnarray}
$$

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